デイグラシアの羅針盤
<基本情報>
- ゲーム名:デイグラシアの羅針盤
- 作者サークル名:カタリスト 様
- リリース:2015年8月
- 対象:全年齢
- ボイス:なし
- エンディング:終盤に分岐あり、順々に新しいシナリオ開放
- プレイ時間(目安):15時間ほど
ジャンル:世界観
キーワード:脱出
<あらすじ>
※公式ページより
「どうすれば、彼女たちは生きてあの海を出ることができたのか。
もし、違う選択をすれば、結果は変わっていたのか」
2033年8月1日、
深海遊覧船
一瞬にして失われた50名の生命。
残された者たちは、閉ざされた深海で生存への道を模索する。
だが、その水底には、彼らが予想もしなかった脅威が潜んでいた。
“二人の生存者”の片割れは、
繰り返す記録と記憶の果てに、彼女たちを救うことができるのか。
「生存者を決めるのは、あなたです」
これは正解のないノベルゲーム。
<レビュー>
総合評価:
ストーリー:SS | 絵・演出・BGM:S |
---|---|
・非常によく練られた、複雑なシナリオ ・世界観もよく考えられている。 ・謎が解けていく過程も良い。 ・一方で説明ばかりになってしまい、あまりキャラは生きていない |
・絵はシェア版としてみても普通に良い ・背景も含めて深海の暗い、怖い雰囲気は出ていた ・今どこにいるのか表示してされていたのも親切 |
〜同人ゲームとは思えない、脱出系力作〜
ネットでうろついていたときたまたま話題になっているのを発見。「Ever17」に似ているとのことで、即ぽちりました(笑)評判に恥じない力作だと思います。
舞台はそこそこ広い潜水艦です。何十人と乗せられて個室もしっかりある構造で、現実にはまだ存在しませんね。そこで海底で事故が発生し、浮上できなくなると。なるほど、LeMUと環境は似てますね。主人公たちはなんとか浮上して海底から脱しようとするのですが…
海底に沈んでいる間に、不思議な現象に見舞われます。そのなぞは少しずつ解けていて、背後にある壮大な世界観が見えてきます。この辺の設定も丁寧に作られています。ある程度全体が見えてきたところで、ラストのルートへ。こちらは後味が良いというか、みんなまとまって…という感じで、trueENDなのでしょうかね。最後までクリアすれば、ほとんどの謎が解けて、よくここまで練ったものだと感心してしまうでしょう。
しかしどうしても腑に落ちない点はいくつか残ってしまいますね(笑)考察サイトとかも見てみて、「は〜なるほど」と思いました。ここに関しては自分の想像力というか、理解力が足りない面もあるかもしれないですが…こういう大量の伏線をしいて、どんどん回収していく話って、わざといくらかは謎のまま残すようで、プレイヤーそれぞれの解釈を持ってもらってそれでいいみたいです。答えを求めがちな自分としてはなかなか難しいところではありますが…それでも致命的なとこが抜けてるとかではないので、完成度高い作品なのは確かです。
あとここはバランスの問題なのでしょうが、謎がたくさんあって解けていくのは素晴らしいのですが、物語としてのドラマ性というか、まさにストーリーというか、そういうところの描写はあっさり目で、あまり感情移入できなかったのは残念な点です。なかったとは言いませんが、さらっと流す感じでそれよりもこの謎が!この問題が!みたいな展開でしたので(笑)ルートが終わるごとに過去のエピソードが解放されて、そこでは各キャラのバックグラウンドも垣間見れますので、そこで知ることはできます。ただ舞台がすべて深海遊覧船の中で、数日の間で、それ以外は回想という感じになってしまいますから、どう表現すればいいのかといわれると難しいですね…
絵は全体的に安定してます。企業のフルプライス作品ではないですから十分だと思います。深海の、神秘的でしかし暗くて怖いようなところも演出でうまく表現されていました。システムも最低限はそろっていたので問題なしです。
なるほど確かに「Ever17」好きの自分としては十分楽しめましたし、その方面のお話が好きな方にはぜひプレイしていただきたいです。一方でキャラも生きていた「Ever17」はやはり神がかったバランスだったのだなと再認識しました(笑)キャラの描き方なのか、絵のかわいさなのか、声優さんの演技もあるのか…ただ同人のフィールドでここまでの作品を作り上げたのは本当に素晴らしいと思います!