ファタモルガーナの館
<基本情報>
- ゲーム名:ファタモルガーナの館
- 作者サークル名:Novectacle 様
- リリース:2012年12月
- 対象:全年齢
- ボイス:なし
- エンディング:基本一本道、いくつかサブエンドあり
- プレイ時間(目安):20時間ほど
ジャンル:世界観
キーワード:館、「あなた」、???
<あらすじ>
※公式ページより一部省略
「あなた」は気が付けば、古ぼけた屋敷にいた。
目の前には、「あなた」を旦那様と慕う、翡翠の目をした女中がいる
しかし「あなた」には記憶がなく、自分が何者なのか分からない。
生きているのかさえも。
そんな「あなた」に、女中は屋敷で起きた数々の悲劇を見せるという。
そこに、「あなた」の痕跡があるかもしれない……。
「あなた」は時代と場所を超えた四つの悲劇を目撃する。
これらを物語として終えてしまうのか、あるいはその先を求めるのかは……
「あなた」次第だ。
しかし、どこかの誰かはこう言うだろう。
「他人の悲劇だから耐えてこられたんだよ」
<レビュー>
総合評価:
ストーリー:SS | 絵・演出・BGM:SS |
---|---|
・悲劇を中心とした、圧倒的完成度の物語 ・館や「あなた」といった、謎が序盤から満載 ・終盤は驚きの真実とともに、怒涛の展開、クライマックスへ ・一部ネタは、まさに同人ならではの表現 |
・絵は立ち絵、イベントCGともに美しい ・背景も含め雰囲気作りは匠、演出も素晴らしい ・BGMも同様に作風にぴたりと合う美しいもの |
〜西洋の雰囲気漂う、同人ならではの本格派傑作〜
こちらもネットで話題になっていた作品です。非常に評価が高くて、楽しみに購入しましたが、いやー同人の世界でこんなに素晴らしい作品に巡り合えるとは思っておりませんでした。評判に恥じないとてもクオリティーの高い、力強い作品だと思います。
スクリーンショットをみていただければわかると思いますが、舞台は西洋で時代は少し昔です。実際主人公がいるのは古びた館。そして謎の女中がいて、自分をこの館の主だと言っておりますが、自分は何者かわかってないという。そして自分を思い出すために、序盤は様々な時代におけるこの館で起こった全く異なった4つの悲劇を、プレイヤーとともに見ていきます。一つ一つの物語も十分読みごたえがあり、それぞれで登場人物たちは「悲しい勘違い」をしており、それがもとで悲劇的な結末を迎えます。
そんな物語を見てきた主人公は、いよいよ後半で自らについての話が始まります。「あなた」や女中、館についてだんだん見えてくるでしょう。ここではいままでずっと引っ張ってきた伏線が回収され、次々と真実が明らかになっていきます。もちろんこのレビューはネタバレなしですので、これ以上具体的なことは言えないのですが、悲劇に満ちていた圧倒的なこの作品の最後にどのような結末が待っているのか、是非楽しみにしてプレイしていただければと思います。もうとにかく後半の展開は凄いです。圧巻です。(語彙が乏しくて困る…)
もう一つ付け加えるなら、ある話にある重要なネタがあるのですが、倫理的に一般的な商業作品ではなかなか用いられないネタになっております。このネタをこの重要なところに持ってきたのも、作者さんの強い思いが感じられますし、まさに同人における魂の作品だと思います。事実、私も「うわ、ここで持ってきたか」とうなってしまいました。
ストーリーの素晴らしさに加えて、立ち絵、イベントCG、背景、演出、BGMといった面においても非常に高いレベルです。また単にクオリティーが高いだけではなく、それぞれがこの作品の作風によくあっており作品全体の完成度が高いです。システムも特に気になることはありません。
ということでネタバレない中でどこまで分かっていただけたか不安ですが、少なくともプレイして損はないと自信をもって言えます。残酷な話や、中世西洋の雰囲気がどうしても苦手な方には向かないかもしれませんが、それだけでこの物語を読まないでいるのはやはりもったいない気がします。ぜひぜひプレイしてみてください!