Humanity
<基本情報>
- ゲーム名:Humanity
- 作者サークル名:non color 様
- リリース:2010年5月
- 対象:全年齢
- ボイス:なし
- エンディング:各登場人物別エンド・エピソードあり。trueあり
- プレイ時間(目安):15時間ほど
ジャンル:人間模様・感動
キーワード:近未来・亜人
<あらすじ>
※公式ページより
むかしむかし、ある東の島国の、さらに東の小さな島に、大きな技術がございました。
人口の減衰を食い止めるために、人を生産するという始末。
なれの果て、道徳をうたう時代は、とうに過ぎ去ったのです。
さてここに一人、高野与一という高校生がつつましく暮らしております。
彼は亜人。いずれは労働力として本土に送られる、人間の亜種。
つまるところ、造られた人間でございます。
ですが彼は、その宿命に悲観することなく、毎日毎日奇抜な仲間たちと、飛ぶように遊んでおります。
どちらが人で、どちらが亜人か。
そんなことは、どうでも良いのです。
これは、元気に暮らす少年少女のお話なのですから。
お腹を抱えて笑えれば、それでよいのですから。
<レビュー>
総合評価:
ストーリー:SS | 絵・演出・BGM:S |
---|---|
・作品名にふさわしい、「人間性」をテーマにした傑作 ・登場キャラそれぞれに見せ場があり、物語がある ・それぞれのストーリーも丁寧に作られており、感動する ・作品全体の世界観・雰囲気も良く、完成度が高い |
・BGMがすごく良くて同人としてはトップクラス ・歌も多い。また同人にしてはちゃんと作られている ・立ち絵はムラがあるも表情豊かで全体的なレベルは高い ・イベントCGや背景も豊富でしっかり描かれてる |
〜「人間性」ってなんだっけ?〜
個人的に非常にドストライクな傑作に巡り合いました。まれにこのような出会いがあるのも、フリーノベル・同人ノベルゲームの醍醐味だと思います。
舞台は近未来で、人の代わりに働いてくれる、外見は人と変わりないが感情など捨てた「亜人」が大量に作られている世界です。そこで亜人である主人公は、亜人と人、双方が通う学校に通います。そこで愉快で騒がしい様々な亜人・人とふれあっていきます。
序盤は亜人+人との仲間たちでわいわいやってます。この掛け合いは合う人は爆笑必至で、人によっては冷めてしまうかもです(笑)たとえるなら商業作品の「CLANNAD」「リトルバスターズ!」の日常シーンとかぶります。自分はこういうの素直に笑ってしまう人間なので楽しかったです。またこの笑い合える日常を共感できるからこそ、この後の感動がより強くなると思いますので、ぜひそのまま読んでいってほしいと思います。
中盤で選択肢によって3つのエンディングに分かれます。どれもまさに「人間性」にスポットを当てた心温まるお話でした。こういう友情とか仲間要素あるお話好きですねぇ…そして3つのエンディングを見るとそこからはさらに続きを追っていくことになります。この世界の状況や現実、終盤に向けて様々なものが見えてくると思います。そんな世界でも、「人間性」を失わず、懸命に生きていく人と亜人。そんな彼らの姿には強く心打たれました。きっと感動することだと思います。そして最後の終わり方…余韻を残す、いいラストだと思います。
物語全体に漂う雰囲気がほんとに優しくて、ほんわかしますね。一人一人のエピソード・エンディングに関してもどれもそれぞれの人・亜人らしさがでていて、「人ってこういうものだよな」と、改めて思わされました。『笑いながら涙が流せる』――深い言葉だと思いました。
また特筆すべき点として、BGMが素晴らしくいいです。こんなに耳に残るノベルゲームのBGMも久々です。日常シーンや各キャラのテーマBGM、感動シーンやシリアスシーンのBGMまでとてもよくあっていて、自然なBGMですごいと思いました。また絵に関しても、立ち絵キャラは豊富なうえ表情も細かく変化しいうことなし、イベントCGも良質ともに文句ないですし、背景もこれ全部書いたのかと思うほどの出来です。歌も同人作品って残念な歌が多いですが、今作はなかなか良かったです。
最後に、いうことなしの大作ではありますが、粗探しすれば強引なところとか勢いで行っているところも無きにしも非ずではあります。ただそれでも個人的には超おすすめな一作品です。まずやって損はないと思いますので、なかなかなボリュームのこの作品、ぜひじっくりとプレイしてみてください。この作品から「何か」を感じ取っていただければと思います。