ユーマを抱きしめて

スクリーンショット

<基本情報>

ジャンル:人間模様・感動

キーワード:仲間

<あらすじ>

※公式ページより

「君はここに何年くらい一人で住んでいるんだ」
「わたし? 一年前にお母さんが死んで、それから」
「お母さんは、この家の敷地の中に?」
「うん。わたしが埋めた」

枯れた細木の如くやつれた少女の手足。
指で指し示す気にもなれず、私は家の壁に寄りかかり腕を組んだ。
やせ細った子供。外見だけ見れば栄養失調とも酷似している。
が、そんなものとは一線を画す──
世界的に稀な病が少女を蝕んでいることを私は知っていた。

「良くて十年。最悪なら明日にでも……君は死ぬかもしれない」


なぜか、彼女は学校をよく欠席する。
なぜか、彼女は体育の授業はいつも見学する。
なぜか、彼女はクラスの誰とも話そうとしない。
なぜか、彼女の目つきは異様に鋭い。
……あとの三つは忘れてしまったけれど、
あたしの知る限り「クラスの七不思議」はこんな感じだ。

ありがとう。
そんな一言を言う勇気も出せなかった。
ごめんね、あの時言えなくて。

ずっと前から死ぬことは覚悟していたはずなのに。
彼女に向けて涙を流す力も残ってない。
ただそれだけ、わたしはどうしようもなく悔しかった。

<レビュー>

総合評価: 評価ロゴ

ストーリー:S 絵・演出・BGM:S
・ちょうどいい長さで、よく作りこまれている傑作
・まるで12話アニメを見ているかのような、展開の旨さ
・納得のラストで、後味も清々しい
・絵が美しい。イベントCGも十分
・演出もいちいち細かい。背景をうまく使っている
・フルボイスも十分な演技な上、状況効果まで反映されてる

〜明日死ぬわたしに、今日、友達ができました〜

丁寧に作られている、良作が見つかりました!プレイ時間も、物語の中の時間経過も長くないのですが、ぎゅっと物語が詰まっている感じがしました。そして圧巻のフルボイスです!

お話は最初から魅せてくれます。演出も背景もいいですよね〜そして謎が残ったまま、本編の時間軸まで飛びます。そこからの展開もダレることなく、ポンポン進みます。一方で章ごとに視点がかわり、一人のヒロインに対する周りのみんなの見方が変わっていく様が見えてきます。ポンポン進むのですが、決して端折っているわけではなく、心地いい長さというか…まるで12話完結のアニメを見ているような感じでした。

終盤、ヤマを迎えるわけですが、ここの魅せ方もとても良かったです。そこに至るまでの過程が丁寧に描写されているからこそですよね。周りの友達の想いが一番高まったところであの展開…そしてラスト。私はこの作品は、あのエンドでいいと思います。なんというか、この作品はあっちの方向の終わり方より、これが良かったと思ってしまうのが、いいですね(何言ってるのかわかりませんね(笑))

絵は独特の作風ですが、良いですね〜味が出てますよね。あと演出が素晴らしい。背景も綺麗で、その背景も動いたりして実際に視線を追ってる感じがいいです。フルボイスに関しては、みなさんうまくてすごかったです。しかも壁を挟んだ声はちゃんと曇らせてたり、セリフとして表されていない「うわー」とかガヤとかまでしっかり入ってました。そして主題歌まで。ほんとに作品全体に手が込んでいますね。前期の通り、長編ということはないのですが、この点も評価して、総合評価や絵・演出評価はSとさせていただきました。

「ユーマを抱きしめて」
作中でもこのワードが出てくるのですが、意味を理解した上で臨んだそのシーンは胸が熱くなりました。全体的に完成度が高い、傑作だと思います。長くないからこそ、是非ボイスも最後まで聞いてゆったりとこの世界に浸かってみてください。