Bye
<基本情報>
- ゲーム名:Bye ※シェア同人版のサイトはこちら
- 作者サークル名:トラウムブルグ7番地 様
- リリース:2007年4月(Ver1.01)
- 対象:全年齢
- ボイス:なし
- エンディング:各ヒロインルートそれぞれ一本道
- プレイ時間(目安):15〜20時間ほど
- ダウンロード先:ベクター 様
ジャンル:感動・人間模様・死生観
キーワード:病気、仲間
<あらすじ>
※ダウンロードページより
冬。
雪の降る季節……白だけの世界。
何にも染まらない、その世界に暮らす人々。
街は、いつもと同じ時間を繰り返していた。
そして今日も、いつもと同じ時間を繰り返しているはずだった。
しかし、時間というものはいつも揺らいでいて……その泡に、人は飲み込まれていく。
雪は降りつづける……まるで、桜が舞い散るように。
ずっとずっと降りつづける……哀しい過去を埋めるかのように。
光と影。
二つの世界のバランスを取りながら、生きる人々。
そこに住む人々が生きていくためには、そうするしかなかったのだから。
微妙なバランスを取って生きるしかなかったから。
そのバランスが崩れたとき……このお話は始まった。
哀しいお話が。
ひとは、なぜ生まれるのだろう。
ひとは、なぜ死んでいくのだろう。
ひとは、なぜ人を愛するのだろう。
ひとは、何故悲しくなるのだろう。
ひとは、なぜ……
半人前の幸せしか持たない私たちだけど
みんな集まれば……きっと一人前くらいの幸せにはなるよ
<レビュー>
総合評価:
ストーリー:SS | 絵・演出・BGM:SS |
---|---|
・圧倒的ボリュームと、その分濃くメッセージ性の強いシナリオ ・各ヒロインシナリオそれぞれがメッセージを持っている ・この作品のテーマに沿った構成が素晴らしい。完成度が高い |
・立ち絵は差分多く、表情豊かでクオリティー高い。一枚絵も同様に美しい。 ・背景がオリジナルなうえ量も多く、しかも全部きれいに描いている。写真ぼかしではない ・BGMは素材のようだが、使われ方はうまく、感動を引き立てる。印象に残る曲も多い |
〜半人前の幸せしか持たない私たちだけど
みんな集まれば……きっと一人前くらいの幸せにはなるよ〜
私が全力をもっておすすめする、トップクラスのフリーノベルゲームである「Bye」の紹介です。完成度は商業作品に全く劣らないです。(なおパワーアップしてシェア版も発売されています。ここではフリー版でレビューします。)
舞台は冬。ヒロインは四人。それに主人公やら母親代わりの人やら出てきますが、みんながみんな、心に、また身体に、満たされていないところを持っています。そんなどこか幸せいっぱいとは程遠いい皆が、幸せとはなんだろうか?と探していく、そんなお話になっています。
シナリオとしては5本あり、それぞれのヒロインを中心としたお話と、true(?)ルートが一本です。その一本一本が十分なボリュームで、ハズレのシナリオのようなものはないです。それぞれでそのヒロインが、自らが足りないところ、十分でない幸せに対して主人公とともに探っていきます。最後のシナリオはまとめのようなルートですが……果たして一人前の幸せは見つかったのでしょうか?――
私が素晴らしいと感じたところは、この「一人前の幸せ」を見つけていくというコンセプトに向かって、みんなが向いていて、うまくそれをまとめ上げたところでしょうか。登場人物みんなが強いわけではないですが、それでも皆で一緒に、懸命に、残酷な現実に向かって前向きに行こうとしています。それぞれの結末に対して色々意見はあるかもしれませんが、それでも立派に「これだ!」と作者はプレイヤーに提示しています。これを15時間にわたる膨大なお話のなかで、うまくメリハリをつけながら確かに表現していくのは難しいことだと思います。私はその強さと、キャラがまさに生きているかのような表現力があったから、あれだけ感動できて感情移入できて、泣けたんだと思います。
立ち絵は見ていただけた通りかわいらしく整っていますし、差分も十分で表情豊かです。さらに服もちゃんと着替えます!イベントCGも十分な量があり、クオリティーはとても高いと思います。夕日の描き方とかプロレベルではないでしょうか…背景も十分量があり、雰囲気も出ておりました。BGMは素材のようですが、この作品の雰囲気とドンピシャリであっており、感動的なシーンで流れるBGMは涙腺を緩ませるのに十分な強さを持っていました。演出も光っていましたね〜特にあのシーンは鳥肌立ちました。システムとしては、シナリオをチャプターごとに読み返せるモードが搭載されていて、当時衝撃的でしたね。
ということで全方面に対してトップレベルの完成度を誇り、フリーノベルの泣きゲーとしてはこれ以上ないくらいの素晴らしい作品だと思います。最後の最後に彼らは一人前の幸せを手にできたのか?是非是非一度、できれば冬の夜に、長い作品なので焦らずにじっくり腰を据えて、みんなの頑張っている姿を追ってみてください。
P.S. ちなみにこの作者さんらがエロゲーブランド立ち上げられて、商業メーカーとしてゲーム売り出しています。それらの作品ももちろんプレイ済みですし、好きですね!また同人活動再開されるそうなので、新作期待させていただきます!