あの丘の上まで
<基本情報>
ジャンル:感動・死生観
キーワード:兄弟・病気
<あらすじ>
※公式ページより
人に絶望し人生を諦めていた――
幼い頃から両親の虐待を受け、学校では苛められ……
俺はいつしか人を信じる心さえも失っていた。
唯一の拠り所は、同じ心の傷を持つ妹の果夏(かな)
生活はけして楽じゃなかったが、それでも二人で慎ましく生きていた。
そんなある日……
果夏は体調を崩し入院する事になる。
初めての事に不安を覚えたが、
幸いなことに果夏の身体は少しずつ回復へと向かっていく。
そんな中、俺はある悩みを抱えていた――
退院し学校に復帰することになれば、
果夏はまた苛められるかもしれない……。
果夏の中学進学に合わせ、
なんとか辛い環境を変えてあげたい。
しかし俺自身、人に心を開くことが出来ない中、
どうすれば果夏を救うことが出来るのだろう。
そんな時、
俺たちの運命を変える出会いが訪れる。
「あの、進くん……だよね?」
俺と果夏、二人だけで寄り添って生きてきた閉ざされた世界。
そこに、一筋の光がさそうとしていた。
<レビュー>
総合評価:
ストーリー:A | 絵・演出・BGM:B |
---|---|
・兄妹愛が光る良作 ・中盤から終盤の心情描写が丁寧 ・ラストも余韻を残す終わり方 |
・顔の一部で見せる表情 ・背景は豊富であっている |
〜兄の思い、妹の思い、友人の思い、主治医の思い〜
久々に兄妹・病気がテーマの作品をプレイしましたが、とても良かったですね〜王道の病気ものも、しっかり作られていれば作られているほど心に来るものです。
あまり恵まれない家庭で育った主人公と妹の兄妹が、高校生と中学生になった時を中心に描かれていますが、その前に幼少期の様子も見せられます。幼少期の影響で他人を信用することができなくなってしまい、お互いが大切な存在になります。そんな中現れた同級生の女の子との出会いをきっかけに、閉ざされた二人の心が少しずつ開いていきます。しかし、だんだんと妹の病状が悪化して…
この作品の良さとしては、主人公、妹、友達の灯、引き取ってくれた父の弟、主治医の先生、それぞれの思いがいきいきと描かれている点が挙げられます。正直ストーリー展開は遅めですが、その分じっくりと心情が描かれており、クライマックスシーンでは十分に感情移入出来ました。あぁこういう思いなんだろうな〜と。病気ものって刻々と悪化していく中でいかに心情の変化をしっかり描けるかが勝負だと思うので、その点は見事だったと思います。「あの丘の上まで」という作品名もうまいなと思いましたし、それに関連して手紙の内容見た時は、本当に感動しました…
一方でクライマックスでのあのシーンだけは、もう少し奇跡とはいっても自然なかたちに出来たのでは…と、そこだけはちょっと惜しく思ってしまいました。まぁでも全体にはそれ程影響はないので細かいことですが(笑)
絵はイベントCGみたいなものは殆ど無く、立ち絵もずっとでているわけではないのですが、女の子たちの見せ方が良いなと思いました。口元だけとか目元だけとか、うまく表現していました。そしてかわいいのがグッドです。システムは不便なくストレスは感じません。
長々と書きましたが、なるほどな〜と心情を思いながら目頭が熱くなる、良作だと思います。兄妹愛とか病気のお話は、やっぱり好きですね〜!